はじめてのバレエ鑑賞「そもそもバレエって面白いの?」

そもそもバレエって楽しいんでしょうか?単刀直入にいって「バレエを知らない人にはあまり面白くないかもしれないなあ、、、」というのがバレエに長年携わってきた私の意見です。衣装も綺麗でバレリーナも美しい、にも関わらず、です。私はバレエに夢中で毎日レッスンに通っていた少女の頃でさえしょっちゅう観劇中に居眠り。毎度連れていってくれた母も「この子はほんとにバレエに真剣なんだろうか??」と思えたと言っています。もちろん例外も多数あるでしょうが、一般的に言って正直そんなかんじだと思います。バレエを習っていたり、何度も劇場に足を運んでいたりすると実際はとても面白い側面も多く、心から感動できるものでもあるのですが

では「どのようにしたらバレエ鑑賞で究極の感動を味わえるのか?」「初心者にはどのような演目がおすすめなのか」「はじめてのバレエ鑑賞で覚えておくべき基本的なマナー」などを今日は書いてみようと思います。もちろん私個人のとても偏った意見ではありますが、参考になればと思います。




はじめてのバレエ鑑賞を楽しむための3つのポイント

まずバレエはその昔、宮廷舞踊として貴族が嗜んでいた娯楽です。音楽と肩を並べて当時の最高のエンターテインメントだったわけです。しかし今は時代が違います。映画をひとつ取っても3DやCGが当たり前で、ストーリーも刺激的な物に溢れています。そんな時代の私達にとってバレエは「退屈」で「刺激がなさすぎ」なことは否めません。でも、バレエをよく知っている人達には舞台によっては心から楽しめる、人生の記憶に残る体験をすると言っても過言ではない程の感動を味わえる物であることも確かなのです。「そんなすごい体験をミスっているのは勿体ない!」というあなた、またはお付き合いでバレエ観劇することになったあなた。極力有意義な観劇をするためのポイントをまとめてみました。

1.事前にあらすじ(ストーリー)をリサーチ!

まずはネットでだいたいのあらすじ(ストーリー)を把握しておくことをおすすめします。バレエは言葉を使わない芸術。舞台装置も踊りの魅力を最大限に強調するために最小限にとどめられます。よってストーリーを予習しないと展開が理解できない可能性が高いです。事前リサーチができない場合は劇場のロビーで大抵の場合は公演のパンフレットが販売されています。それを上演開始までの時間を利用してザザッと目を通しておくのもよいでしょう。



2.事前にYOUTUBEで同じ演目のバレエを見ておく!

とにかく目を肥やしておくことが何よりのバレエの楽しみ方です。最初ははっきり言ってつまらないですが、何度か見ていくうちに慣れてきてダンサーによって踊りが違うこと、プロダクションによって衣装や演出が違うこと、などの「違い」が見えてきます。バレエの楽しみとは例外を除いて、究極的にはこの「違い」を楽しめるかどうか、だと思います。

演目リサーチで見るべきはバレエの演目全体ではなく(全部を見ると長い!ので、、、)、ハイライトである「グラン・パ・ド・ドゥ」や「バリエーション」と呼ばれる最も有名なソロの踊り部分です。(というか、これらのハイライトをいくつか見ても魅力的だと思えない場合はバレエ全体を楽しめる可能性もとても低いと言えるでしょう)同じグラン・パ・ド・ドゥやバリエーションを違ったダンサーのもので複数見ていくとだんだんとそれぞれのダンサーが醸し出す雰囲気の違いが掴めてきます。お気に入りのダンサーも見えてくることでしょう。こうなったらあなたも立派な「バレエ通」の仲間入り。きっと生で見る舞台ではダンサーの息遣いやその時にしか踊りえなかったバレエの奇跡が味わえるのではないかと思います。

もしあなたが今からチケットを購入するのであれば、どのキャストの日のチケットを購入するかは最も大切なファクター。ぜひ予習することをおすすめします!

3.語り合える友と一緒に行きましょう!

バレエ観劇は合間に一回から二回の休憩が入ります。たとえ自分は開演中に眠くなってしまったとしても、この休憩中に相手の意見を聞くことで「そんな見方があったのか」と思える時もあります。バレエ観劇後もしかり。私なんかはバレエを見終わって友達や彼氏とお茶やディナーをするのが観劇そのものと同じくらい楽しみでした。あれやこれや、図々しくも評論家になった気分で話すのが楽しかったのです。



<おまけのポイント>

4.「これからどっぷりバレエにハマっていく予定!」という方は、、、バレエ漫画、有吉京子さんの「SWAN」を読むべし!!

この漫画はですね、本当によく描けています。バレエを知り尽くし、研究しつくした作家さんであることはバレエ関係者なら誰しも知っていること。バレリーナを目指している女の子、聖真澄がプリマになっていく様が描かれています。バレリーナがどのような経験や気持ちで踊りに取り組むのか、どんな苦難や喜びに出会うのか。舞台とはダンサーにとって「命がけ」であるということが臨場感を持って迫ってくる作品です。時間がある方はぜひ。バレエに少しでも興味のある方、きっとその魅力が分かるようになると思います。ぜひ!



 はじめてのバレエ鑑賞。好み別おすすめ演目

バレエにはいわゆる古典バレエの演目、演劇の要素が強いロマンチックな演目、そしてバレエのテクニックを使った現代的なバレエ(コンテンポラリーダンスやネオクラシカルバレエ)まで色々あります。それぞれの好み別にいくつか初心者の方におすすめな演目をピックアップしてみました。

古典派なあなたには

1.「くるみ割り人形」

くるみ割り人形は「クリスマスの夜に主人公が夢見る」おとぎ話。人形や動物、妖精や一面に舞う粉雪。子供から大人までバレエの初心者には分かりやすく、衣装も丈の短いいわゆるバレエ衣装「チュチュ」もあれば、ドレスもあり、世界各国の民族衣装をモチーフにした衣装ありと様々。舞台全体も2時間ちょっとで短めです。どのシーンもテンポよく進行し、小曲集。音楽もひと昔前のソフトバンクのCMでもお馴染みのチューンがあったり、ディズニーの「ファンタジア」で使用されている曲は全てチャイコフスキー作曲のこの「くるみ割り人形」の曲。途中で飽きる可能性が低い演目と言えます。ただ欠点としては、ちょっと子供っぽいこと。メルヘンが嫌いな人は避けた方が無難です。初心者におすすめは中でもエンターテインメント性が高い熊川哲也氏のKバレエカンパニーです。毎年12月に上演されます。

2.「ジゼル」

「ドン・キホーテ」などのコケティッシュな要素があって華やかなバレエももちろん、初心者にはお勧めできるかなと思うのですが、ここではあえてジゼルを。ジゼルは一見、バレエ初心者には厳しいかな、という印象もありますが(いわゆる「白いバレエ」というもので幽玄なバレエなので)私が子供の頃はなぜかこのバレエで寝たためしがありません。愛した男性に裏切られた純真な少女が気を狂わせ死んでしまい、死後も愛した男を呪いから守り抜く。というラブストーリーです。ストーリーだけ書くとなんだかお能みたいですね、、、。でも、スターバレリーナ達が「一度は踊ってみたい!」という演目であり、バレリーナの踊り自体のテクニックはもちろん、演技や気持ちの表現すべてにおいて要求度が高い演目。だからこそ見れるバレリーナ達の「本気」度。こちらもバレエ全体が2時間ちょっとと短めです。かつての世界的スターダンサー、ミハイル・バリシニコフ出演の映画「ダンサー」では映画の主題とバレエのジゼルが重なり、舞台と日常が同時進行していくような設定。この中でアレッサンドラ・フェリが踊るジゼルはなんといっても絶品です。バレエを実際見に行く前に彼女のジゼルはぜひYOUTUBEでチェック!

3.「バレエ・ガラ」

バレエ・ガラはセレクトショップのようなもの。バレエのハイライトのみが抜粋され、小作品が続きます。大抵の場合チケットは高額で、その時に一番注目されているバレエダンサー達が登場します。バレエは演目全体を見るとやはり長いし、初心者にはどうしても「中だるみ」と感じる部分も出てきます。でもガラであれば、とにかく華やかですし、何よりそれぞれの作品が短い。まずはバレエ・ガラを見るといいかなと思います。ガラの中には現代的な作品が多く含まれる場合もあります。チケットを購入する際にどんな作品が集まっているのかチェックすることを忘れずに。



演劇派なあなたには

「椿姫」

私自身は「恋愛ドラマ系」は疲れてしまいダメなのですが、周りで圧倒的にファンが多い演目がこの「椿姫」。ドイツのハンブルク・バレエ団の振付家ジョン・ノイマイヤー氏の作品。マノン・レスコーのお話を被せてストーリー展開する娼婦と男の悲恋物語。私なんかはストーリーが辛すぎてダメ。しかしジョン・ノイマイヤー氏は人間の感情や人間関係を振り付けに落とし込む天才で、よくこの深い感情をバレエにしたものだなあ~と感心します。演劇派な方には他にも少し親しみ安い「ロミオとジュリエット」や大人なムードたっぷりな「マノン」などがあります。

現代派なあなたには

コンテンポラリーダンスというジャンルはとにかく作品の幅が広く、バレエのテクニックが主体となっているものから舞台上でほとんど動きを見せないものまで(そんな作品も世界トップのパリオペラ座劇場なんかで上演されたりしているわけですが)さまざま。よって私のお好みトップ3を!

1.ピナ・バウシュの作品

元祖タンツテアターの振付家、ピナ。ダンスと演劇と、壮大かつ圧倒的な美しさを演出する舞台美術の素晴らしさ。最早ダンスを超えて現代アートかもしれません。人間が体験する様々な人間関係や感情を、コミカルに美しく、時に痛々しいまでに描き出す彼女の作品は見ておいて損はないです。私なんかは毎回舞台で涙していました。彼女の作品はヴィム・ヴェンダースの映画「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」でドキュメンタリー形式で見ることができます。

2.イリ・キリアン「ネザーランド・ダンス・シアター」の作品

振付家イリ・キリアンの作品はネオ・クラシカルと呼ばれるジャンルに入り、バレエが基礎の動きとなっている新しいバレエ。とにかくダンサーの身体能力を最大に引き出すような振り付けで、いとも美しい。ネザーランド・ダンス・シアターはオランダのバレエカンパニーで、日本で面白い振付作品を多数提供している新潟をベースに活動するNoismの代表、スター的存在である金森穣さんもダンサーとして在籍していたカンパニーで先のキリアンとの振り付けにやはり共通点が見られるように感じる。とにかく美しい。

3.オハッド・ナハリン「バットシェバダンスカンパニー」の作品

オハッド・ナハリンはイスラエルの振付家。とっても刺激的で時に奇抜な作品を提示してくる。エネルギッシュな作風で、ロックバンドが出てきたりする物もある。型にとらわれている自分が嫌になったりした時はコレ!パンチ強し!




 ちょっと知っておくと便利!劇場での「常識」とマナー

劇場には独特のマナーや暗黙の了解の領域があります。足を運ぶ前にちょっと頭に入れておくと恥ずかしい思いをせず、他のお客様の迷惑にならずに済みます。

服装は「キチッと」

海外の劇場のように古典作品を見に行く際には「ゴージャスなワンピースやドレスで」「男性はスーツで」といった暗黙のドレスコードは日本にはありません。日本でのトレスコードは比較的ゆるいものです。観劇の服装は、演目や劇場の種類にもよりますが、ここではあくまでバレエの鑑賞や観劇の服装について。

デニムでも大丈夫ではありますが、清潔感を心掛けた方がよいでしょう。ある程度のチケット代を払い一夜の「現実から一歩離れた夢」を味わいにいらっしゃる他のお客様のことも考えてある程度キチッとした服装で劇場へ向かった方がいいかもしれません。バレエ公演にはバレエ関係者や生徒さんが多く集まります。この様な方達は割としっかりしたものを着用していらっしゃいます。色は黒が多いかなと思います。子供達も綺麗なワンピースを着てくることがほとんどです。

上演中は小さな音がとても響きます。カシャカシャと音のする素材の服装は避けた方が気持ちが楽でしょう。

もう一つ注意したいのは、髪型です。劇場では席と席の間があまり開いていません。そのため、前に座る方の髪型がアップ等で大きく盛られたスタイルですと、後ろの方の観劇の邪魔になってしまいます。帽子も、着席したら外すようにしましょう。

少し早めに劇場に着くようにしましょう

会場は開演の30分から45分前が一般的です。劇場では公演のパンフレットを購入して作品の詳細を開幕前にチェックしたり、お手洗いを先に済ませておくなど余裕をもって到着するようにしましょう(女子お手洗いはほとんどの場合混んでいるということも考慮に入れて)。尚、開幕後ある程度の時間が経つと会場へは入れません。次の幕まで待つことになりますので注意しましょう。

その他の観劇・鑑賞の「常識」

・お席での撮影や私語は禁物です

バレエ作品を観劇中はヒソヒソ声でも嫌がられる傾向にあります。私語は控えます。

・開幕後の途中退場は嫌がられる

劇場では席が密集しており、途中で退場するには他のお客様の足元をよけて出ることになります。特別なことがない限り途中退場は避けた方が無難です。小さな子供を同伴する場合などあらかじめ途中退場が予測できる場合は、出口に近く、通路隣の席を確保しておくことをおすすめします。

・終演後にはカーテンコール(ダンサーの挨拶)がある

カーテンコールは15分から30分くらいがだいたいの目安です。人気ダンサーが出演している場合などは長くなります。記載されている公演時間にプラスして見積もるといいかなと思います。カーテンコールで帰られるお客様もいらっしゃり、それは暗黙のルールとしてOKです。でも「あら、帰るのね」という空気は否めません。

マナーは以上、とまあ、書いてみるといかにも疲れそうな感じですが、、、一回行ってしまえば空気が掴めると思います。あくまで周りと歩調を合わせていれば万事OK。しかもそこまで難しいことはないです、ミュージカルやサーカスを見にいくのと大して変わらないといえば変わらないです。



 おわりに

人って好みが様々ですよね。古典バレエ大好き!!っていう方ももちろんいらっしゃるし、私みたいに何年バレエに携わっていても、やっぱり途中で眠くなっちゃう人もいますし(笑)でも、素晴らしいダンサーの踊りとか見ていると、その人の生き様まで伝わってきて。学ぶことが多いなあ、とある意味深く感動したりします。みなさんはどんな体験になるでしょうね?楽しみです。

ではまた!

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